= 徒然の漢詩鑑賞 =

  杉篁庵(さんこうあん)主人の漢詩鑑賞ブログです
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前有一樽酒行二首
これも李白の春の酒を詠ったもの。

「前有一樽酒行二首」 李白
 其一
春風東來忽相過,金樽淥酒生微波。
落花紛紛稍覺多,美人欲醉朱顏酡。
青軒桃李能幾何,流光欺人忽蹉跎。
君起舞,日西夕。
當年意氣不肯傾,白髮如絲歎何益。



 其二
琴奏龍門之儷諭ざ猛簇酒清若空。  
催弦拂柱與君飲,看朱成碧顏始紅。  
胡姫貌如花,當壚笑春風。     
笑春風,舞羅衣。  
君今不醉欲安歸。
         (雑言古詩・樂府) 


「前に一樽の酒有るの行(うた)」李白
  其の一
春風東より来たり忽ちに相ひ過ぎ、
金樽の酒を淥(こ)して微波を生ず。
落花の紛紛として稍(やうやう)に多きを覚へ、
美人酔はんと欲して朱顔酡(あか)らむ。
青軒の桃李 能(よ)く幾何(いくばく)
流光 人を欺きて忽ちに蹉跎(さた)す。
君 起ちて舞へ、日は西なる夕べなり。 
年に当り意気傾むくを肯(がへ)んぜず、
白髪絲の如きも歎きて何の益あらん。

 其の二
(きん)は龍門の緑桐(りょくとう)を奏し、
玉壷(ぎょくこ)の美酒は清きこと空の若し。
絃の柱を払ふを催(うなが)し君と与(とも)に飲み、
朱を看(み)て碧(へき)と成せば顏始めて紅し。
胡姫の貌(かんばせ)は花の如く、
(ろ)に当(かな)ひて春風に笑ふ。
笑へる春風は、羅衣(らい)に舞ふ。
君今酔わずして安(いづ)くに帰らんと欲するや。

・淥:漉。濾。こす。
・蹉跎:つまずく。いたずらに時が過ぎる。
・柱:音階を調節するための琴柱。
・壚(ろ):酒を売ったり酌をしたりするところ。
・羅衣:踊り子の薄ものの着物。


春風は東から来て、瞬くうちに吹き過ぎ、
樽の酒にさざ波をたてている。
はらはらと落ちる花びらは数を増し、
ほろ酔いの美人の紅い頬は更に赤らむ。
桃の花はいったいどれほど美しく咲いていられるであろう、
時はゆっくり流れると見せ、いたずらに過ぎてしまうもの。
さあ、踊ろう、日は傾いてはや西の空。
歳とっても気持ちが萎えることはないのだ、
糸のような白髪を歎いてなんのいいことがあろうか。


奏でられる琴は龍門の緑桐製の名器、
玉の壷に満たされた美酒は空のように青く澄んでいる。
更に琴を促して君と飲み、
朱色のものが緑に見えるほどに酔って、初めて顔が紅くなる。
西域の娘の顔立ちは花のように美しく、
この店でお酌をしながら春風のように笑う。
笑いながら春風に、薄ものの衣を翻す。
君は今ここで酔わずしてどこへ行こうというのです。


漢代から歌い継がれた樂府も、酒仙李白によれば華麗な詩となる。
それぞれ結びの句がなんともいい味わいを持っている。


なお、「行=歌行」とは、楽府題の一つで、四言五言また七言の作品があるが、定型の名称ではない。白居易に琵琶行、杜甫に貧交行、曹丕の作品には短歌行・秋胡行・燕歌行などがある。


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