= 徒然の漢詩鑑賞 =

  杉篁庵(さんこうあん)主人の漢詩鑑賞ブログです
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對酒


 對酒 李白
勸君莫拒杯,春風笑人來。
桃李如舊識,傾花向我開。
流鶯啼碧樹,明月窺金罍。
昨日朱顏子,今日白髮催。 (昨日=昨來)
棘生石虎殿,鹿走姑蘇臺。
自古帝王宅,城闕閉黃埃。
君若不飮酒,昔人安在哉。

君に勧む 盃を拒む莫れ、
春風 人に笑ひて来(きた)る。
桃李 旧識の如く、
花を傾け 我に向ひて開く。
流鶯 碧樹に啼き、
明月 金罍(きんらい)を窺ふ。
昨日 朱顏の子、
今日 白髪催す。
(いばら) 石虎の殿に生じ
鹿 姑蘇台(こそだい)を走る。
(いにしへ)(よ)り帝王の宅と
城闕は黄埃に閉さる。
君若し酒を飲まざれば
昔人安〈いづく〉に在りや。

・旧識:以前からの知り合い。昔からの知人。旧知。
・罍:中国古代の青銅器。酒器。
・棘:サネブトナツメ。酸棗(さんそう)。
・石虎殿:石の虎が刻まれる古代帝王の墓。〔石虎(せきこ)は五胡十六国時代の後趙の第三代の皇帝建武帝。次々に大宮殿を造営した。九華宮〕
・姑蘇臺:呉王夫差の宮殿姑蘇台。夫差の寵妃西施(せいし)のいた宮殿である。江蘇省呉県の西南。
・自古:昔から。昔より。
・安在哉:どこにいるだろうか(反語)。

李白にはこの詩の背景と同じくするものに、「蘇臺覽古」や「烏棲曲」という詩がある。

 「蘇臺覽古」 李白
舊苑荒臺楊柳新,(旧苑荒台 楊柳新たに)
菱歌羮不勝春。(菱歌の清唱 春に勝(た)へず)
只今惟有西江月,(只(た)だ今惟(た)だ有り西江の月)
曾照呉王宮裏人。(曾(かつ)て照らす 呉王宮裏の人)

 「烏棲曲」  李白
姑蘇臺上烏棲時(姑蘇の台上、烏棲む時)
呉王宮裏酔西施(呉王の宮裏に、西施を酔はしむ)
呉歌楚舞歓未畢(呉歌楚舞、歓び未だ畢らず)
青山欲銜半邊日(青山銜(ふく)まむと欲す、半辺の日)
銀箭金壺漏水多(銀箭金壷、漏水多し)
起看秋月墜江波(起ちて看る、秋月の江波に墜つるを)
東方漸高奈楽何(東方漸く高く、楽しみを奈何せん)

また、室町時代前期の禅僧である絶海中津の「姑蘇台」に
姑蘇臺上北風吹、過客登臨日暮時。麋鹿群遊華麗盡、‥‥囘首長洲古苑外、斷烟疎樹共凄其。(姑蘇台の上に北風が吹き抜けてゆく。旅人は日暮れ時にこの台に登った。台より見わたせば、多くの鹿が群れをなして遊んでいるが、華やかであった姑蘇台の面影は全く見当たらない。‥‥台上からふり返って見れば、夫差の父闔閭が華やかに遊猟楽しんだ長洲苑の古跡外、まばらに生えている樹木は往時とは似ずまことに寂しい光景であった。)の句がある。

かつての宮殿の庭園や亭台の跡は古び荒れ果てているが、春はやはりめぐってきて、春の彩りに染められている。時は速やかに過ぎていく。昔を偲べば、飲まずにいられようか。
(土井晩翠の「春高楼の花の宴めぐる盃かげさして千代の松が枝わけいでし昔の光いまいづこ。天上影はかはらねど栄枯は移る世の姿写さんとてか今もなほ嗚呼荒城の夜半の月。」の気分であろうか。)

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