= 徒然の漢詩鑑賞 =

  杉篁庵(さんこうあん)主人の漢詩鑑賞ブログです
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酒を把(と)りて月に問ふ

酒と月といえば、李白は酒に酔って長江に映る月を掴もうとして溺死をしたといわれているが、その李白の一首。


 把酒問月
   故人賈淳令余問之
       李白
愿畦月來幾時、
我今停杯一問之。
人攀明月不可得、
月行卻與人相隨。
皎如飛鏡臨丹闕、
儕賁狽効羌奄ぁ
但見宵從海上來、
寧知曉向雲塁鵝
白兔搗藥秋復春、
姮娥孤棲與誰鄰。
今人不見古時月、
今月曾經照古人。
古人今人若流水、
共看明月皆如此。
唯願當歌對酒時、
月光長照金樽裏。


 「酒を把(と)りて月に問ふ」
晴天に月有りて 来(このかた)幾時ぞ
我今杯を停(とど)めて 一たび之に問ふ
人明月を攀(よ)づるは 得べからざるも
月行 卻(かへ)つて 人と相(あひ)随ふ
皎(きょう)として飛鏡の丹闕に臨むが如く
緑煙 滅し尽くして 清輝発す
但だ見る 宵に海上より来たるを
寧(なん)ぞ知らん 暁に雲間に向かひて没するを
白兎 薬を擣(つ)きて秋復(ま)た春
姮娥(こうが)孤り棲(す)みて 誰と隣せん
今人は見ず 古時の月
今月は曾経(かつて) 古人を照らせり
古人今人 流水の若(ごと)く
共に明月を看ること 皆此(か)くの如し
唯だ願はくは 歌に当たり酒に対する時
月光の長(とこし)へに金樽の裏(うち)を照らさんこと

・飛鏡:空を飛ぶ鏡で月の形容。 
・丹闕:仙人の住む宮殿の赤い門。
・儕譟夜の青い靄。 
・搗藥:不老不死の薬をつく。
・姮娥(こうが):「嫦娥」。太陽を射落としたことで知られる英雄「羿(げい)」の妻である嫦娥(姮娥)が、西王母から貰った不老不死の霊薬を飲み一人月へ昇り月宮で寂しく暮らすことになったという中秋節の故事「姮娥奔月」による。また、その足下にいるウサギは「月兎(玉兔)」で、玉の杵と臼で不死の藥をついているという。


 訳詞
月は何時(いつ)より輝くと
盃(さかづき)とどめ問うてみる
月に昇るは難けれど
我に随ふ月のあり
鏡のごとく輝きて
靄掻き消して澄み渡る
海からのぼる宵の月
雲間に沈む明けの月
兎の搗ける春秋を
姮娥は一人誰とある
昔の月は見えざるも
古人照らせる月なりき
古人今人流れ行き
同じ思ひに月を見き
歌ひ飲む時ただ願う 
黄金(こがね)の酒をとこしへに
月照らせかしとこしへに

 詩の意
晴れた空に月が出はじめてから、
どれだけの時間が流れたのだろう。
私は盃を置いて、訊ねてみる。
人は月にによじ登るうとしても、それはできない。
しかし月は、人に付き従ってくるものだ。
白く澄んでまるで夜空に鏡が飛ぶようで
仙人のすむ赤い宮殿の門を照らしているよう。
緑の夕もやは消え失せ、月は清らかな輝きを放っている。
夕暮れに東の海から月が上るのを見るばかりで、
人はその月が、明け方に雲の間に没して行くのを知らない。
月に棲む白兎は、秋も春も不老長寿の薬をついているが、
嫦娥は、誰と一緒に過ごしているのだろうか。
今の人は、昔の月を見ることはできない、
しかし今輝いている月は、確かに昔も輝いていた、同じ月なのだ。
流れる水のように人は移り変わっていくが、
今の人も昔の人も、共に名月を見上げる心は同じ思いであろう。
私はひたすら願う。歌をうたい、酒に向かう時、
月の光がいつまでも金の酒樽の中を照らしていてほしいと。

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